樹のはなクリニック開業日記

<   2008年 01月 ( 20 )   > この月の画像一覧

樹の棲家


私が密かに名づけたその場所は、樹の棲家。

漆黒の夜は、轟々と風の音が心を少女のように
心細くさせる。

小柄な私がどうやっても幹には手を回せないほどの
大木。


夏どんなに暑い日でも、そこだけは静寂という涼やかな風が
流れている。


杉の木を見上げて思う。

今の私の悩みなど、何てちっぽけなものだろう。

大きな息を一つして、惑いを一つ置いてきた。

蝋梅の香り、冬だと思っていても花たちは春の準備を着実に
している。

自然は、人の心模様などおかまいなく淡々と季節のページを
めくっていく。


・・・

東京都医師会・千葉医師会から掲載依頼のあった原稿より


モン パルファム

「香りはその人そのものを表してしまう」
ある本で読んだこの一行は、香りの国のフランス人らしい言葉だと思った。

香りを纏うのは、難しい。フランスでは小さいころから母親の香りに親しみ
いつか自分の香りをみつけようと、捜し求めるそうだ。
 私にとっての最初の香りは、いつも身綺麗にしている母の白粉の匂いである。
それはおしろいばなの花の香りに似ている。セピア色の香りとでもいおうか、
心を優しく包んでくれる香りである。
 仕事柄香りを纏うことは、はばかられるが朝仕事に行くときは必ずワンプッシュする。(間違っても匂いたつようなつけかたはしないよう用心しているが)「さ、今日も一日頑張っていこう」と、気持ちをふるいたたせてくれる。私の秘密の気つけ薬である。
自室にある小さなガラスケースには、少しずつ集めた香水が並んでいる。香りも勿論だが
そのボトルも中々洒落ていて使い終えても、名残惜しくとってあるものが多い。
 自分自身もだんだんアンティークになっていく最近は、新しい香りよりやはりずっと以前から作られている香りに心惹かれる。
夏の香りは、イタリアの清涼感あるものにしていた。ボトルの中の液体はきらきらと輝きまさに真夏の太陽の陽射しを思わせる。秋は、ラストノートにムスクのもの、ナルシス・ノワールを選ぶ。冬になると一足早くフローラル系のものを選んでみる。秘密の花園に佇む気分である。

医師の道を選ばなかったら、私はパヒューマー(調香師)になりたかった。

・・・
先日の医師会の編集委員会で「先生の文章は、異質ですものねぇ」と言われた。
保険医協会の紙面に掲載された時も、何だか私の所だけ妙な感じがしたが
やはり…と思った。

医療情勢や、医局時代のこと、研究の記事が多い中で一人だけ香水のことや
犬の福助のことなど書くからだろう。


森 瑶子さんとまでは、到底いかないがいつか大人の恋の物語も
書いてみたい…

数年前に、短編集は書き溜めていたが。
恋に恋していた、妄想時代の作品集。
[PR]
by kinohanakurinikku | 2008-01-31 23:05 | 感じたままに… | Comments(0)

いただきます


開業していらい夜遅くなる事が多い、夕飯。

9時過ぎは早めで、大抵は10時頃。

テーブルに向かうと、カリカリ、カチャカチャ、ガリガリ…という
音が後ろから聞えてくる。

食事は、犬も一人だと寂しいのかな?


帰宅し玄関に入ると、猛ダッシュでお出迎え。

満面の笑みって福助のこの顔をいうのだろう。
尻尾も、ブンブン振っている。

すぐに福助のご飯皿にドッグフードを入れる。
お腹はきっと空いているはずなのに、私たちの食事が
始まるのを待っている。

「いただきます~」というと、今夜もカリカリ、カチャカチャ、ガリガリが
聞えてくる。


なんて、可愛いんだろう♪

f0104138_2355142.jpg


f0104138_0131164.jpg

[PR]
by kinohanakurinikku | 2008-01-30 23:55 | 感じたままに… | Comments(6)

ふつう


以前非常勤で勤務していたクリニックでよく言われた言葉。

「ふつう、になりたい、ふうつでいいんです」


普通って何だろう…みんなと同じって事だろうか。
みんな違うのが、普通だから。

多くの人は、人は人と同じような幸せを求めているのだろう。

現実は違いすぎて、だから求めているのだろう。


今日はその普通とは違って体の事。

昨夜、吸入用のステロイドを開始した。
ここ数日咳きが続き「ふつうに息がしづらかった」ので。


朝起きて、福助と一緒に歩いていても
肺の中に空気が入っている気がしてきた。


病んでみて初めてからだの有り難さがわかる。
同じような症状になったとき、患者さんの気持ちに
少しだけ寄り添えるように思う。

不登校の母親の気持ち、家族問題を抱えている人の気持ち
年老いていく母をみている切なさ…

年を重ねていくと、少しずつ見えてくるものがある。
研修医時代は、無我夢中だったから患者さんにも
ご迷惑をかけたと思う。

夢中はよくない、見失っているのだから。

診察は、診察室に患者さんが入って来るところから
診断が始まっている、そう教えられた。
そして、患者さんも医者を診断していると。

馴染み(2回以上通院された方)になりそして顔なじみに
なっていくと、何とはなしにうち解けて、ぽろりと互いに
本音がでてくるようになる。

こうして関係性が構築されていく。

こういうペースだから、患者さんは1日にそうは多くは診られない。

以前15年勤務していた診療所時代の患者さんたちはどの人も
そうやって診療してきた。

私は、私流。

そう思えるのは、重ねてきた経験だと思っている。
[PR]
by kinohanakurinikku | 2008-01-29 13:59 | 健康 | Comments(0)

琴線


 琴線


琴の音色それは和も洋も私には心地よい響き。

お琴は、正座が長時間はどう考えても無理なので
諦めた。

グランド・ハープは10年以上前に偶然手にとった本で
銀座にお教室があることが分かり、通い始めた。

そこで教えて頂いた先生の音色、日本のハーピストの中では
一番美しい音色だと思っている。

昨夜、久しぶりに触れた弦、まさに琴線に触れるとは
このことだろう。

先生のご自宅には約8年ばかり通っていた。
年が近い事もあり、レッスンが終ると飲みに行ったり
カラオケに行ったりと、楽しい時間を過ごさせて頂いていた。

気がつくと、もう1年以上もレッスンを受けていない。

時間がない、なんていい訳はせず寸かを惜しんで
弦に触れよう。

上達に王道はなく、日々鍛錬あるのみ。

こうしてPCに向かっている私の背中越しに
グランド・ハープはじっと私をみつめている。


「怠け者!」その通り…です。
[PR]
by kinohanakurinikku | 2008-01-29 00:44 | 趣味 | Comments(0)

昭和3年、辰年


土曜の午後診療を終え、往診へと。

駅に向かう坂道は、とても緩やかなのに
息が弾む。

向かい風が咳きを誘う。

教えて頂いたとおりに、商店街の小さなかどを曲り
目指すお宅へ。


静かに時を過ごされている方だった。

半世紀以上前の学生時代の事をお話されている時の
目の輝きは、記憶がいきいきと蘇り口調も滑らかであった。

昭和3年…母と同い年。

母も父も両家とも、家族関係が色々と訳のあった人たちだった。
その両親が作った家庭も、子供にとっては居心地のよい場所では
なかった。
父の罵声や、母の泣く姿、食べて嘔吐する姿。

強い北風が吹きすさぶ夜は、子供部屋で体を
震わせ「もし、お母さんが死んじゃったらどうしよう…」と
声をださぬ様に顔を枕に埋めた。

不安定な家庭環境は、大人を観察する子供へと。

「○○ちゃんは、本当にいい子だから」この母の呪文は
ずっとそう在り続けなければ、人から否定されてしまう。
感情をあらわにするのは、とてもよくない事と脳に刻まれた。

母もそうやって育てられてきたのだろう。

母に寄り添えるようになったのは、ごく最近かもしれない。

今年、80歳になる母。

数年前には、残胃の潰瘍穿孔で緊急手術を受け大変な状態に
陥った。

母は娘時代に既に胃潰瘍で手術をしていた。
癒着が酷く、手術が終了するまでには6時間もかかった。
搬送先の医療センターの待合室で、一人で待ち続けていた時は
このまま、母は戻らぬ人となるのだろうか…と。
感情が凍りついて涙もでなかった。

人は本当に哀しいと涙はでないように思う。

医療センターの救急外来の医師から明るく軽やかに
「胃潰瘍穿孔ですね、はい手術」と告げられたときは、ただ頷くだけだった。


「そう、貴女の言っている事はいつだって正しい、大丈夫」
無条件にそう言ってくれるのは、母だけ。
(意見を望んでも、無理なんだろう)

無条件に認めてくれる人が、この世に一人くらいいてくれることは
やはり、子供には大切なときもある。


『ありがとう、お母さん』
[PR]
by kinohanakurinikku | 2008-01-27 11:49 | 感じたままに… | Comments(0)

立待月の夜に


月は、みる人の心模様によって随分とその輝きも
違って見えてくる。


先日の月は物憂げな様子の女性のよう。

今夜の月はどんな強風にさらされても、その足を
地から放さない母のように


蝋梅の香りが漂う悩ましげな夜は、淫靡な光を
はなつ事もある。


月は心の投影。

ずっと以前私のHNは月だった。
そう、もう過去形になった。


その姿を次々に変えていく月。
そして新月の夜はその姿を夜のカーテンに
息をひそめるように隠してしまう。


どんなに姿を変えても、美しさは変わらない。


月は私の憧れ…
[PR]
by kinohanakurinikku | 2008-01-24 23:36 | 感じたままに… | Comments(0)

再会


今日ある方と再会した。

綺麗な姓なので、物忘れする私でも記憶していた方。


私たちの仕事は、色々な繋がりがあってどこかで
接点を、それが何年接触不良のままであっても
再び開通することがある。

ここ数日、何となく体調が下降気味ですぐれない気分であったが
会議が終了するころには、心に灯りがともりコメカミの辺りの
ひきつれが、消えていた。


クリニックには寄らず、雪から雨に変わった事に安心しながら
帰路に着いた。


PCに向かう私の膝の上には猫のパメラがノドを鳴らしながら
寛いでいる。


寛ぎは、私にも伝わり私も寛ぎを貰える。


寄り添える係わり…
雪の降った夜は、嬉しさがます。
[PR]
by kinohanakurinikku | 2008-01-23 17:55 | 感じたままに… | Comments(0)

へんし~ん


奥沢の駅、私は密かに憧れている。

改札からすぐに、ホームに直結しているから。

階段がないから滑り込みで電車に乗れる!なんていう事ではない。


23時近く、踏み切りでぼんやりと停車してまっていてふと改札口をみると…
恋人たちがぎりぎりまで改札で見詰め合って
電車がホームに滑り込んでいくと、女性が駆け込んでいった。

男性は、暫し女性を温かい視線で包んでいた。

「いいわねぇ~」と急に帰宅した息子に買ったコンビニ袋を
撫でながらおばちゃんは、呟いたのだった。


駅は、恋人達の想いでの場所。

上野駅で青森行きの列車を見送り、恋しくて恋しくて
京王線の電車の中でぽろぽろ涙を零した21年前の可憐な人は
何処へ…

「帰る場所が別々もいいわよねぇ~」と平気で言ってしまう人に変身。

時間という魔法使いは、女を魔物に変えていく。
[PR]
by kinohanakurinikku | 2008-01-22 00:27 | 感じたままに… | Comments(2)

遠い悩み


高校三年生の頃をふと、思い出しながら
通勤途中の車中で鼻の奥がツンとなった。

英文科をでて秘書になって、そのまま結婚退職♪という
淡い構想も、「医学部に行かないのなら、でていけ」の父の
一声でふっとんだ。

父親は当然と思っていた人生路線に結局は乗ったが
そう思えるまでは、医学部を卒業して10年以上かかった。
いや、もっとかかったかもしれない。

開業医だった父から勉強の事を言われ息がつまり
そうになると自宅裏の浅川を犬のクロと散歩をしていた。

私の背丈より高いススキをかき分けてクロと
川縁を歩いていた。

クロは人の気持ちがよくわかる犬だった。
じっと私を見上げて「大丈夫だよ」そう言ってくれた。

研修医の時「クロが死んだよ」という父からの電話で
夜遅く車を飛ばして帰宅した。

人生の中であんなに泣いたのはまだ、ないかもしれない。
硬くなって冷たいクロの手触りを思い出す。

進路を決めるのは、大変だ。



17歳の息子が時折もの憂げだ。
息子には、私は何といおう。

自分の遠い悩みが、最近は近い悩みになっている。
[PR]
by kinohanakurinikku | 2008-01-21 13:33 | 感じたままに… | Comments(2)

合奏


ギター(と、言っても色々種類がある。ソプラノギターやアルトギターを
初めてみた)・ウクレレで合奏をした。

今日は昨年秋頃からポツポツと通っている新堀ギター教室の
「三軒茶屋ニューイヤーコンサート」だった。

初めて会う生徒さんたちと「春よこい」を演奏した。

合奏は、楽しい!

ブラスバンドがない学校にいたので、こういった楽しみを
味わうことなく、終えてしまったのが残念。

なんだろう…皆で弾くと嬉しくてリラックスできる。
保育園に通っているお子さん~50代の人(←私)
中学生、大学生、介護士さんもいた。
リハーサルは、3回だけだったが、結構満足の出来?!

初めてソロで「星に願いを」を二番目に演奏した。
早く終ると少し余裕。

リピートする部分をすっ飛ばして少し早く終了。

でも、途中で譜面が飛ぶことなく最後まで弾けたから
よしと、しよう。

同じフロアーでは、社交ダンスの同好会が
やはりニューイヤーダンスパーティを開催していた。

受付をやっていたので、そしてドアが開いていたので
ちらちら眺めていた。

ポマードがにおってくる年代の方々であったが
皆さん素敵な笑顔で踊っていらした。
楽しい風景は、周囲も幸せにする。


私たちの仕事は、一人で完結することが多い。
久しぶりに、他の人の歩調に合わせてやる、という事を
体験させて貰った。


朝11時頃から会場作りをしたり、買出しにも行ったりして
少々疲労の一日だったけれど得る事が多い休日だった。

お教室の先生方、お疲れ様でした。
そして、ありがとうございました。
[PR]
by kinohanakurinikku | 2008-01-20 23:23 | 趣味 | Comments(0)



夢を叶えるために
カテゴリ
以前の記事
2018年 10月
2018年 09月
2018年 03月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 06月
2017年 03月
2017年 02月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
2008年 11月
2008年 10月
2008年 09月
2008年 08月
2008年 07月
2008年 06月
2008年 05月
2008年 04月
2008年 03月
2008年 02月
2008年 01月
2007年 12月
2007年 11月
2007年 10月
2007年 09月
2007年 08月
2007年 07月
2007年 06月
2007年 05月
2007年 04月
2007年 03月
2007年 02月
2007年 01月
2006年 12月
2006年 11月
2006年 10月
2006年 09月
2006年 08月
2006年 07月
2006年 06月
2006年 05月
2006年 04月
2006年 03月
樹のはなクリニック
最新のコメント
書き込みを拝見するのが今..
by kinohanakurinikku at 20:10
hokariさんも、お..
by kinohanakurinikku at 13:02
2/26に母がT病院で亡..
by hokari at 11:49
ありがとうございます! ..
by kinohanakurinikku at 00:10
8周年おめでとうございま..
by こさかあさん at 16:07
コメントありがとうござい..
by kinohanakurinikku at 14:51
3年前まで喫煙者だったタ..
by ター at 23:17
お久しぶり!です。 ..
by kinohanakurinikku at 12:21
お久しぶりです。 本当..
by こさかあさん at 00:16
久しぶりに樹の花クリニッ..
by こさかあさん at 23:02
ライフログ
検索
その他のジャンル
外部リンク
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧