一日どこへも出かけない日曜日。
息子の研究課題の「山椒魚」を読む。
高校だけど、作文が多い学校。
「興味がもてないからなぁ~」としぶしぶ机に向かう息子。
私は山椒魚を読んだだろうか?
渡されたコピーを数回読んだけれど、私も興味もてず。
田辺 聖子さんやなかじま らもさん、伊集院 静さん
浅田 次郎さん、小池 真理子さん、久世 光彦さん・・・
なんていう方々は学校の課題にはならないだろうな。
私の部屋には、本が溢れかえっている。
向田 邦子さんの全集が本棚の一番いい所に置いてある。
料理もお上手で、稀有の文才のある方だった。
丁度医者になった年に亡くなった、研修医の私は暫し
茫然としてナースルームに立ちすくんだ記憶がある。
急いで夕食を作ってとリクエストされ、今夜は厚焼き玉子を作った。
卵を丁寧にとき味醂とお砂糖、お塩少々。
熱した玉子焼き器、油を馴染ませる。
じゅ~という音が小気味よい。
今夜はどうしたことか、柄の部分に右の親指を押し当ててしまい
小さな火傷をしてしまった。
「火傷しちゃったわ」「大丈夫」と心配そうに覗き込む息子。
何て優しい言い方・・・
だから、彼の宿題をいつも手伝っちゃうのだろう。
「今日のは少し硬いね」息子はちと厳しい。
「確かにね、そうね」
そんなたわいもない会話に、息子の成長を感じる。
お彼岸も終わりいつか私も黄泉の国へ。
厚焼き玉子を食べるたびに、私を思い出してくれたら
どんなにか嬉しいだろう。
これから息子の為に何回厚焼き玉子を作れるだろう。