当院は、在宅支援診療所。
往診患者さんには、24時間携帯待機のクリニックです。
近所のSさん宅へも月2回の往診が始まっています。
「20代の頃からの糖尿なのよ、ここ何年かは病院にも行かないし、クスリだって
前の病院の婦長さんが年だからもう飲まなくていいんじゃない、っていうから」と
奥さんが私に最初の頃言いました。
たまたま奥さんが留守で(往診日を忘れていたらしい)患者さんが一人の時でした。
「貴女には、悪いけどね今調子いいからクスリは飲まない方がいいと
思っていますから」と淡々と言われました。
採血をしてみれば大抵の医者はクスリを出したくなるでしょう。
医療は、患者さんの体調を整えるのが主たる目的だと思っていますから
糖尿のクスリはだしていません。
記憶の維持をするクスリは奥さんからの希望で最近開始していますが。
80歳のSさん。いつも座っている居間の椅子の周囲には
藤田画伯や、伊藤晴雨の画集も他の本の中に埋もれるようにつんであります。
在宅で自分の思うままに過ごしていくこと、それが一番幸せなことなのでしょう。
休日はプライベート用の携帯はもうオフにしようと思っています。
電子カルテ、携帯、電気世界に支配され従属関係に少しだけ
お別れを・・・