一年ぶりだろうか、母に会った。
電話では、よく話しをしていたがとうとう先日顔をみせて欲しいと言われ
夏休みも最終週となり、子供と二人実家へ帰った。
道が空いていれば、1時間程度なのにどうしてこんなに
帰らなかったのだろうか。
親不孝娘メッ!
80歳になる母は、4年前に胃潰瘍穿孔であわやの状態になった。
娘時代にすでに胃潰瘍で胃切除をしていたので癒着がひどく
緊急手術でもあり約6時間手術室からでてこなかった。
一人待合室で0時から朝の6時まで一睡もせず無事帰室を祈っていた。
担当医から説明を受けたとき、泪が溢れ言葉にならなかった。
医師は常に冷静であらねばと思うが、担当医の渇いた目と語調が
余計に哀しさを増幅した。
この担当医には、その後信頼を欠く言動があり結局は転院したのだが。
深夜の緊急手術で、命を救って頂いた事については感謝しているが
だが、検査で異常がないので腹痛はありえないと母に言った事については
許せない事だった。
病院長にも伝えたがここでも温かい言葉はなかった。
病院全体が、温い雰囲気がなかったのはこういう姿勢の人が多いせいだろう。
母は孫に会えたことの方がより嬉しかったのだと思う。
満面の笑みとは、今日の母の顔を言うのだろう。
「おばぁちゃんの笑う顔をみる事ができて、僕も嬉しい」と帰り道の車内で
息子がしみじみと言った。
近隣の方々には本当によくして頂いている。
母の一番のお友だちであるOさんは、毎日母の分の夕食も
作ってくださるそうだ。
「家族だと思っています」そう言ってくださっている。
有り難いことです。
母の笑みは、孫の未来の力にもなる。
少し小さくそして幾分円くなった背中をみて「ありがとう、お母さん」と
心の中で呟いた。