樹のはなクリニック開業日記

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銀座の恋の物語


大空の月の中より君来しや
      ひるも光りぬ夜も光りぬ


「月光荘の由来をしっていますか」

歌人与謝野 晶子が送った名前だとあの人(男)は
奥まった店の中で私に教えてくれた。


学生時代にラグビーをやっていたというあの人(男)

いつも当たり前のように男の大きな手が私の髪をゆっくりと
撫でている。

髪先まで撫でて貰いたくて、何年も肩より
20㎝ほどの長さにしている。


五十路も過ぎた女が、仔猫のように男の大きな胸の中で
のどを鳴らす。


「 Mon Chat 」あの人(男)が選んでくれたアドレス。

あれからずっと同じ携帯アドレスにしている。


「画材を見に行きましょう、いつものように水曜の午後に」


水曜の仕事を休みにしたのは、その時間を手に入れるため。


花椿通りから金春通りへそして名残惜しくて
歌舞伎座を通り過ぎ晴海通りを指を絡ませてそぞろ歩く。


雨の銀座、男の腕にぶる下がるようにして
一つの傘に身を置くとき…

安堵という媚薬が躰を潤していく。

サムサラの香りはあの人(男)が私の為に
選んでくれたもの。


「香りは、くちづけをして欲しい所につけるものですよ」


そう教えてくれたのも、あの人(男)



パッセンジャーシートは、サムサラの香りしかしない。

変わらぬ眼差しの中には、私だけがいる。



大人の男と女の恋は、銀座から始まった。
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by kinohanakurinikku | 2008-05-31 19:29 | 小説 | Comments(0)

今夜の香り


対向車のライトが、雨にひかっている。

20時までの外来もカルテのバックアップをとり後片付けを
すると21時過ぎはゆうに過ぎる。

今週は、連日夜に会議がありホトホト疲れた。

昨日までは、頑なに「カボシャール」と意固地になっていた。

今夜は、どうだろう…

ふと、「サムサラ」に手がいく。


雨の中運転し帰路の途中で、どうでもよい事に
拘っていたと、ストンと胸におちたものがある。

すとん…


心の湖に、沈んでいく蟠り。


夜の雨は、湖を満たしていく。
そして浄化する作用もあるのだろう。


強情っぱりという意味のカボシャールから
輪廻転生という意味のサムサラへ。


ずっと以前に助手席に乗った途端
「何て、いい香りだろう。貴女にお似合いですね」
サムサラは、その時の人の声音を思い出させる。


今夜は、サムサラに包まれて過ごそう。
枕に顔を埋め、その時の声を思い出しながら
夢の時間へと…
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by kinohanakurinikku | 2008-05-31 00:32 | 感じたままに… | Comments(0)

その意味


生きていくために働く

生活の足しに働く

前者は、男性の場合。

後者は、多くの女性の場合。


ある方が私に言った言葉。


高校生の時、私はいったい何になりたいか不明だった。

色々あって医学部へいき、卒業した時も入局したい
所も探せず。

生活をしていく為に、民意連に入った。
父親からの仕送りが中止になったから。

何もできない新米に給与をくれる、に目が眩んだ。
今考えると、不純な動機で失礼な医局員だった。

あの頃の、小豆沢病院の医局は賑やかだった。
ちょっぴり心を傾けた外科医のNもいたから…か。
手編みのセーターは、彼はもっているだろうか。
家の箪笥の奥底でカビがふいているだろうか。

最近、その意味を考えることがおおい。
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by kinohanakurinikku | 2008-05-30 00:29 | 感じたままに… | Comments(4)


悦・・・満足して喜ぶ


愉しむ

楽しいというより、大人の意味するもの



悦と愉


一人より二人で得たいもの…
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by kinohanakurinikku | 2008-05-29 00:39 | 小説 | Comments(0)

薔薇の家


空気は、いつもひんやりとしている。

扉を開けることは、今という時間から逃げ込むときだった。

「薔薇が咲きました」ただそれだけの便りが届く。

男性にしては、華奢な文字を溜息をつきながら
今眺めている。

ブラックバカラ、深紅の薔薇を教えてくれたのもあの人だった。
「貴女の唇の色だ…」

ブラックティ、貴婦人をおもわせる。
「ドレスは、この色が似合うね…」


「愛しています」メッセージカードが添えられていた。
ブルームーンとともに。

花言葉は「奇蹟」


貴方とこうして出会えたことは、偶然ではなく必然。
まだ、数ヶ月しか時を重ねていないのに当たり前のように寄り添う。

夢中という時間をくれたひと…Mon Y
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by kinohanakurinikku | 2008-05-28 10:16 | 小説 | Comments(0)

もんじゃ


食をともにする事。

エロティックなシーンが続く。

美味しそうに食べる男をみるのが、嬉しい。

ビールを飲み干す咽喉の動きは、セクシー…

額に汗をかき、もんじゃを食べる。

お好み焼きから、もんじゃへと。

二人の距離が近づいていく。


雨のあがった通りで、見送る背中。


甲斐性のある男が、ここにも一人いた。
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by kinohanakurinikku | 2008-05-27 01:06 | 小説 | Comments(0)


女が母親になった時、壮大な計画をたてる。

生まれた時から、夢を紡ぐ。

蜘蛛が巣を作るように…

その中には息子という名の分身をすまわせる。

「いい子ね、大好き」

「○○ちゃんは、お医者さんになるのよね」

「家庭教師をつけましょう、貴方のためだもの」

「一度も、反抗期なんてなかったわ」


「そういえば、お袋はずっと呪文を僕にかけていたな」

「貴方は、医者になるのよ、ねっ…」


蜘蛛の糸は、五月の風に揺れている。
強風が吹いても、壊れる事のない巣も
いつしか、綻びがみえてくる。


気がつくと、巣の中はもぬけの殻。

反抗期という反逆は、静かに企てられた。

「こんなはずじゃ、なかったのに」

食べられない日々が続く、やがて…


「私の思ったとおりになったのね」
逃げなかった和犬のような従順な子。
鎖のついた蜘蛛の巣から離れられなくて
心地よいぬるま湯に浸りふやけていく。


私は、息子に託すという選択はしない。

夢は自分に託すものだから。


蜘蛛の巣の定員は一人。誰にも棲まわせない。
そんな女もいる。









f0104138_023863.jpg

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by kinohanakurinikku | 2008-05-25 23:57 | 感じたままに… | Comments(4)


湿気の多いころになった。

いつ切れたのだろう、朝みるとグランドハープの弦が
1本共鳴版に倒れていた。

空調設備が完備され、人は季節に鈍感になっていく。

散歩の途中にある紫陽花の葉が瑞々しくなってきた。
冬の紫陽花は、ミイラのような枝だが春を感じる頃になると
恐ろしいほどに、元気になっていく。

五感を大切にしたい。

今朝新聞でみた矜持と含羞という文字。
誇りと恥じらいか。

健やかに決めた道を歩いていこう。
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by kinohanakurinikku | 2008-05-25 15:42 | 感じたままに… | Comments(2)

熟成


誰かに伝えようと思うのは

まだ、苦しみや哀しみが熟成していないのだろう。


火傷が深くなると、無感覚であるように

なんと上手く人はできているのだろうか。
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by kinohanakurinikku | 2008-05-24 15:33 | 感じたままに… | Comments(0)

恋物語 Mon B


「甲斐性なんだよね…最近そんな奴がすくないね」

久ぶりに食事をする昼時、Bは私をじっと見据える。


口髭に白いものが混じる年になったんだと、口元を
眺めていた私はふいをくらった。

30年近い月日は、二人の係わりにどんな色をさして
いったのだろうか。

沁みるような時間もあった。

見守ってくれる瞳は、いつも暖炉ような炎を思わせる。

時折マキをくべ、一瞬炎があがるが後は穏やかに燃え続ける。



「また、こうしてあえる様になったね」
バーカウンターの端の席で耳もとでささやかれたのは
いつだっただろうか。


貴方はこうして私を絡めていく、あの日から…
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by kinohanakurinikku | 2008-05-24 01:19 | 小説 | Comments(0)



夢を叶えるために
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