東京駅の銀の鈴広場が模様替えしたと
先日知った。
何もかも変わっていく。
想いでも、色合いが変わっていく。
銀の鈴広場で待ち合わせをして京都へ向かったのは
いつだっただろうか。
不実な女なのに、その人はなじることなどけしてせず
目を細めて私をいつも見ていた。
お忍びで入るような料亭も予約してくれていた。
夫婦にはもちろん見えない二人。
「夏の京都に行きたいの・・・」気まぐれに言ったその一言を
ずっと覚えていてくれたあの人。
宮脇賣扇庵 の扇子、夏になると必ず手に取る。
白檀の香りがするその扇子は、あの人の小さな溜息が
聞こえる。
「ずっと想って生きていきますから」
子猫を撫でるように背中に触れたあの人の手の温もりを
白檀とともに想いだす。
「冬の京都に行きたいの・・・」
あの人にまた言ってしまいそう・・・