38年ぶりに満月のイブだそうだ。
福助と見上げる夜空には、冷たい風にひとり佇む月。
その傍には泣き黒子のような星が輝いていた。
夕飯が終わりほどなくして「お母さん、何だか気持ち悪い」
久しぶりに17歳の息子が私を呼ぶ。
少し前まで流行っていた嘔吐下痢症にかかったようだ。
小さい頃ニコニコしてミルクをお腹いっぱい飲んだあと
みるみるうちに悲しそうな顔をして嘔吐をしたことを思い出していた。
自分の子どもの吐物は、やっぱり平気で片付けられるものなんだ…な。
あたふたと片付けをしていると、食堂で寝ている福助が「??」という顔で
私を横になりながら見上げている。
そういえば、福助も去勢術の手術の経過が思わしくなくて
1ヶ月間食事の介助をしたものだった。
エリザベスをしてしょんぼり窓の外をみていた姿を思い出すと
鼻の奥がツンとしてくる。
子どもは一人だけど、猫や犬がいて世話をするのが
大変に思う時があるけれど、私にはとても大切な家族。
次のフルムーンのイブは、どんな事を思っているだろう。